第37章 今、<答え>を伝える時
「謝ることはない。 それより何かあったのか?」
俺達の元へ歩いてきた華菜にそう尋ねてみた。
「いえ……何も……」
「……そうか? ならいいんだが……華菜が待ち合わせの時間に遅れるなんて珍しいから……」
「ただ先生に用事を頼まれて遅れただけなので……」
俺の言葉を遮り、華菜はそう言った。
「そうだったのか」
「……はい」
俺の呟きに返事を返してきた華菜の声はどこか、陰りがあり、表情も少し曇っていた気がした。
(本当に何もなかったのか……?)
『何もなかった』というには彼女の表情と声のトーンは暗いものだった。
「華菜、本当は何かあったんじゃ……」
「……兄貴、そんなことはいいから早く本題に入ってくれないかしら」
「……あ、あぁ……そう、だな……」
途中で美月に遮られてしまい、けっきょく華菜に気になったことを尋ねることはできなかった。