第33章 美月ちゃんから告げられたのは……
…………
……
あれからどれだけの時間が経ったのだろう。
私は美月ちゃんが立ち去ったあとも、暫くその場を動くことが出来ず、静かな下駄箱の前でしゃがみ込んでさっきまでの出来事を振り返っていた。
「美月ちゃんが……博臣先輩を……」
(私が考えていた通りだったなんて……)
そんなのってないよ……
どうして、そんなことに……
美月ちゃんは博臣先輩を嫌っていたんじゃないの……
普段からの行動を見て、私はそう思ってたのに。
「もう、わかんないよ……私はどうしたら……」
私の目から涙が溢れそうになった。
だけど、その涙を必死に我慢する。
(こんな場所では泣けない……泣くなら家に帰ってから……)
自分にそう言い聞かせて、その場から立ち上がる。
すると……
「春野さん? まだ帰ってなかったの?」と、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきて私は振り返った。
「……っ! 神原秋人……」
「どっ、どうしたのさ⁈ そんな今にも泣きそうな顔してっ……って、うわっ!」
私は慌てふためく神原秋人に構わず、勢いよく彼に抱きついた。
「ちょ、ちょっと春野さん……? 一体何があったのさ? てか、眼鏡がっ‼︎」
神原秋人の慌てた声が私の耳に入ってくる。
けれど今は眼鏡に構ってる余裕はなかった……
「……今は何も言わずこのままでいさせて……お願い……っ……」
私は神原秋人の胸に顔を押し当てたまま、涙声でそう言う。 すると神原秋人は、「わかったよ……」と、頷いてくれた。