第30章 二人の頭に過ったのは……
私は博臣先輩に頭を優しく撫でられ続けて、さっきまで心の中にあったモヤモヤした気持ちや不安な気持ちが和らいだような気がした。
「……博臣先輩」
「ん? 何だ?」
「約束……守って下さいね……?」
「あぁ。 もちろんだ」
博臣先輩はそう言いながら私の頭をひと撫でした。
(そういえば、今ならあのことを聞けるかな?)
私はふと、あることを思い出して博臣先輩に声をかける。
「あの博臣先輩……」
「……? 今度は何だ?」
「聞きたいことがあります」
私がそう言うと博臣先輩は「あぁ、もしかして俺が風邪を引いた原因についてか……?」と、言って私の目を見る。
そんな博臣先輩の問いかけに私は頷いた。
「そうだな。 俺の体調も良くなったからな……話すか。 実はーー……」
博臣先輩はそう言って、昨日の……
博臣先輩が私の家から帰ってからの出来事について話してくれた。