第29章 不安なんです。
「嫌ではなかったんです……」
「……え?」
「ただ、どうしても博臣先輩が自分の兄貴のように見えちゃったから……」
(あぁ、だから、か……)
華菜はスキンシップが過激すぎると拒否反応が出るんだったな。 まぁ、俺からすると『キスしてくれ』『抱きしめて欲しい』『添い寝してくれ』などは過激だとは思っていなかったりするんだが……どうやら華菜からするとそのスキンシップは行き過ぎでダメな域だったらしい。
(というか、俺はそんなことを言っちゃったのか……風邪を引いていたのが原因だとしても何を言ってんだ……バカじゃないのか俺はっ‼︎)
まぁ、今更そこを気にしても仕方ない。 もう過ぎてしまっていることだからな。
「で、落ち込んでたのは俺が言ったことを全て断ってしまったから嫌われる、っと思ったからか?」
「はい……」
「なるほどな。 けど、何でまたそんなことを思ったんだ……? 前に心配しなくていいって伝えたはずなんだが……」
「……私がこのままの状態で居続けたらいつか、愛想が尽きるんじゃないかって……そう思ったら、考え出したら、不安になっちゃって……」
華菜は今にも泣き出しそうな表情で俺を見ていた……。