第25章 博臣先輩の家。
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……
「ここがあの子の部屋よ」
「あ、ありがとうございます……」
「いえ。 それじゃ……ごゆっくり」
女の人は私を博臣先輩の部屋まで案内してくれて、そしてそんな言葉を残して女の人は去って行った。
(……結局、あの人は誰だったのかな?)
そんなことを考えながらも私は博臣先輩に会うために部屋のドアを軽くノックした。
が、返事は返ってこなくて……
「……寝てるのかな?」
それなら今日は帰ったほうがいいかな……?
あぁ、でも……心配だし……
(うーん、どうしよう……)
私がそうやって悩んでいると……
『んんっ……華菜……っ……』
苦しげに私の名前を呟く博臣先輩の声がドア越しに微かに聞こえた。
そんな声を聞いたら益々心配になり、私は躊躇いながらも博臣先輩の部屋へと入ることにした……。