第25章 博臣先輩の家。
あれから博臣先輩と別れて家へと帰ってきた私は兄貴に捕まっていた……。
「……ったく、お前が俺を突き飛ばして家を飛び出して行くとはな……」
「……私が家を飛び出すのはいつものことじゃない……。それより、離してくれないかな?」
「まだダメだ……」
「……今すぐ離してくれなかったら兄貴のこと、もう『"お兄ちゃん"』なんて呼ばないよ?」
「⁉︎」
私がボソッとそう呟くと兄貴は勢いよく私の身体を離した。
(……この言葉を言うとお兄ちゃんは離してくれるのよね……)
兄貴はよっぽど『"お兄ちゃん"』と呼ばれなくなることが嫌なのね……。
「……なぁ、華菜……?」
「ん?」
「お、俺はお前に嫌われたくはない……」
「……。 ……そう思うならもう少し抱きつく回数を減らしてよ」
「……そ、それはっ‼︎」
「今日のことだってまだ私、怒ってるんだからねっ‼︎」
「今日のこと?」
「博臣先輩との話の邪魔をしたことよ」
私はそう言って兄貴を睨んだ。