第181章 〜後日談〜特別なハジメテ〜※R18
捧げるのは好きな人。
だから、怖くない。
嫌なわけじゃない。
そう言い聞かせても、震える身体。
ぎゅっと腕に力を入れて、しがみ付く。
(もっと、触れて欲しいけど……)
キスだけでこんな風になって立てなくなるのに、その先を想像しただけで……
ギシッ……。
「家康……」
今まで、何度も訪れた部屋。
まるで、初めて来たみたいに別の空間に思える。
ベットに降ろされて……
「ひまりのハジメテ……欲しい」
熱っぽい視線。
家康の顔が至近距離に迫って、また矢継ぎ早にキスをされ、身をよじれば背中に壁がぶつかる。
私の「ハジメテ」は家康に貰って欲しい。でも、恥ずかしいのとドキドキして胸が壊れそうになって怖い。
「上手く……でき…ない…かも」
途中で怖くて逃げちゃうかもしれない。全く知識がないわけじゃないけど。でも全く、想像が出来なくて……
全部、自分を曝け出すなんて……
(無理だよ……)
いつの間にかブレザーは脱がされ、両手を胸の前で交差して、顔を横に逸らした。
すると、家康は壁に片腕を付いて私の顔を正面に向けると……額に優しいキス落とす。
「言ったよね。ひまりのハジメテが欲しい……って。逆に慣れてたら……かなりヘコむんだけど」
少し拗ねた感じの声に、慌てて
「な、慣れてなんかっ!だって!今にも心臓飛び出しそうなのに……」
しどろもどろに私は答える。慣れてるなんて、家康にそんな風に思って欲しくない。
本当にハジメテだもん……。
今にも消えてしまいそうな程、小さな声だったけど……
「……俺も一緒だから」
ひまりだけじゃない。家康は決まりの悪そうな顔をして、そっと私の手を取り自分の胸にあてる。
(凄いドキドキしてる……)
速まる鼓動の不規則な音が、
手から伝わってきて……じんわりと目頭が熱くなった。