第179章 〜後日談〜姫主様side〜
廊下を歩く生徒の足音。
ようやく勉強漬けの日々から、
解放されたクラスの皆んなの明るい声。
そんな、教室の中……
(はぁ〜……)
私はため息を吐いた。
テスト期間の一週間。
そして迎えたテスト最終日。
あっという間に時間は流れた。
クラスの皆んなの冷やかしも落ち着いた頃。進路希望用紙が配布され、進学か就職か少し悩んでいた。
「ひまり、どうしたの?ぼっーとして」
「ん?そろそろ進路考えないとなぁ…って思って。ゆっちゃんはパティシェ目指すんだよね?」
政宗の影響かな?なんて、ちょっとだけ思ってみたり?でも、ゆっちゃんは私の心の声に返事をするように「べ、別に政宗は関係ないからね!」と、力説。
(ふふっ。素直じゃないなぁ〜)
最近の二人。周りの皆んなも噂を始めたぐらい、良い雰囲気。
「ひまりは、デザイン系希望だよね?ほら前に、演劇部の衣装製作手伝って、好評だったし!」
「そうなんだけど……」
ファッション関係の仕事に就きたいのは、小さい頃からの夢。でも、まだ大まかでハッキリコレ!っていうのが、絞れていなくて……進路はまだ、決まってない。
専門学校行って学んだ方が良いのか、就職先で経験を積みながら見つけていくのが、良いのか。
(学校もいっぱいあって、悩む……)
私は持っていた進路希望用紙を机に置き、軽く息を吐く。そして、チラッと窓辺に視線を向けた。
すると、
「なぁ〜るほど〜ひまりにも、ついにその感情が生まれたかぁ〜」
いつの間にか後ろから、ガタガタと椅子を動かして私の席の前に、移動してきたゆっちゃん。しみじみとした声を出しながら、机の上で頬杖をつく。
「え??その感情?」
「って。……そうゆう所は相変わらず自覚ないわけね」
呆れたように苦笑いされ、コツンとオデコを突っつかれた後。
寂しいんでしょ?
そう聞かれて……私は口を結んだ。