第178章 〜本当のはじまり〜
雲一つない青空の下。
「朝から変なこと言うのは、家康の方でしょ!絶対に行かないからね!」
「別に、いらないなら良いけど」
「意地悪!!」
「意地悪なのは、ひまりの方」
通学路で私達は言い合いをしながら、肩を並べて歩き出した。
ピンク色のカーテンが揺れる。
窓辺に置かれた本が風でパラパラと捲れ、とあるページで止まった__
「徳川家康」ーー何百年も続く平和な江戸幕府を築き上げた人物。幼少時代に辛い人質生活を送るが、後に生涯一人の女性を愛し、幸せな人生をも築き上げた。
その女性の名は「ひまり」と伝えられている。
そのページには、
挟まれたハートマークの栞。
そして……昨夜、いつの間にか届けられていた三枚の写真。そのうち、一枚目に撮影された写真が石碑のレプリカの裏に飾られていた。
そして……
三枚の写真が入れることが出来る、
赤いハートの写真立て。
まだ、一枚分スペースは空いていたが……二枚は埋まっていた。
二枚目に撮影された写真。
普通に引き伸ばしたものが一枚。
そして、家康とひまりの二人だけが大きく引き伸ばされた一枚。
重なる口元を隠した文には……
『天邪鬼な君へ』
そう、宛名が書かれていた。
永遠に続く愛。
それは
ここから始まる二人の「物語」