第177章 涙色の答案用紙〜あとがき〜
「もう……間違えないでね」
神様のイタズラは二回まで、なんだから。
ひまりの消え入りそうな声は、
激しさを増すキスに飲み込まれ。
家康はそれをしっかりと聞き取りながら、
「ごめん」そう、心の中で静かに謝った。
恋人同士になった高校生の二人は、
「春にキスした時。なに考えてたか、教えてあげる」
一人の男と女に成長しながら……
「ふふっ。やっぱり不思議だね。二つのオルゴールで、一つの曲になるなんて」
「……何で、俺ぶたれたワケ?」
「いきなりリボン外すからでしょ!!」
それでも、幼馴染には変わりない二人。
家康がヒリヒリとした頬を撫でる隣で……
頬を膨らませ、オルゴール二つを耳に当てるひまり。
ピンク色の
山茶花の香りに包まれ……
二人は
花言葉通り
『永遠の愛』が
ここから……
始まったのかもしれない。
涙色に染まった手紙は……
今は秋色に染まっていた。
涙色の答案用紙〜(完)