第173章 涙色の答案用紙(36)修学旅行編
戦国学園の生徒、二泊三日の思い出、それぞれの想いも乗せ、走り出した赤いバス__
「うわぁ〜ゆっちゃん!すっごい、綺麗!!いいなぁ〜〜」
ひまりは、アルバムを見て目を輝かせた。
「カップル撮影割引券貰ったから、また徳川に連れてって貰いなよ!」
「でもなぁ…家康。絶対、無理って言ってたから」
「なら、違う人と行くって手はーっ?」
弓乃はわざと後ろにいる、家康に聞こえるように言う。
「……はぁ。まぁ……結局。今日の格好もかなり際どかったからね。あんま、変わんないかも」
「で?景品何だったんだ?」
「……内緒」
家康は、鞄の外ポケットにしまってあった、封筒をこっそり取り出す。
(コレなかったら、あんなに頑張らない)
白い横長の封筒。
そこには、修学旅行中に宿泊していたホテルの名前が印字されていた。
「「また、寝てる」」
恋する最強、女の子二人。
パシャリとそれぞれ、好きな人の寝顔を思い出にクスリと笑い。ピースサインで合図。
そして、葛藤する年頃の男の子二人。
((明日、携帯没取する))
狸寝入りをしながら、二人の会話に耳を澄ましていた。
涙色の答案用紙
「明日」に繋いだ石碑。
ひまりの、一世一代の告白は……
一通の手紙からはじまる。
〜修学旅行編(完)〜