第170章 涙色の答案用紙(33)修学旅行編
修学旅行、最終日の早朝__
ツインルーム。
真っ白なシングルベットが二つ並び、赤い高級絨毯。高級な革ソファ。お洒落なテーブル。天上から吊り下がる、シャンデリア。
セレブ学園に、もはや改名しても良いぐらいの高級ホテル。担任の信長は勿論、最上階スイートルームにて赤いワインを夜な夜な堪能していただろう。
そして……
そんな、ホテルの一室。
バスルームにあるアメニティに夢中になる二人の女の子がいた。女の子と言っても二人は高校二年生。
大人と少女の間……
恋に夢中になるお年頃。
制服姿を確認して、
赤いリボンをつける。
家から持ってきたヘアアイロン。
コンセントの二つ穴に差して、鏡越しで目を合わせる。
「本当にごめんね。政宗のこと…気づかなくて。親友失格だよね」
ひまりはシュンと肩を落として、心底申し訳なさそうな声と表情を浮かべる。
「私も自覚したの、海に行ったあたりぐらいだし?ひまりの心の整理が出来たら言うつもりだったから、気にしないのっ!」
弓乃は背中をバシッと叩いて、ひまりを元気付けると流行りの恋歌を口ずさみながら、ヘアアイロンでボブヘアーをゆるく巻いていく。
二人は昨夜、恋バナ、惚気でお互いの話を包み隠さず話した。前より、一層友情を深めた二人。
ひまりは、ふと……
「もし、もし私が政宗のこと好きになってたら……?」
そう尋ねた。
「そんなの決まってるじゃん!ライバル!ラ、イ、バ、ル宣言して、真っ向勝負!」
すると弓乃は口を動かしながら、鏡に向かってパンチの真似事をして返事をすると、次は……
「……なんてね?まぁ、ちょっとは弱気になったけど」
少し表情を曇らせスッと腕を下ろした。
「だって最強お姫様、ひまりが相手じゃね〜」弱気になった理由を、敢えて茶化した口調で弓乃は笑う。
しかし……
「ひまりは、絶対に徳川とくっ付くって思ってたから」
日頃の二人の様子、ひまりを見て、根拠のない自信だけはあった。