第168章 涙色の答案用紙(32)修学旅行編
犯した過ち。
罪は消えない。
しかし、
傷つけた心。
傷つけられた心。
叩いた手。
叩かれた手。
別の傷みが、違う痛みが残る。
相手を想う気持ちが強いほど。
絆が深ければ深いほど。
思い出が多ければ多いほど。
こうして……
傷みを知り、痛みを感じ。
間違い、過ち、後悔を繰り返して。
取り戻せない『思い出』の時間を『今』の瞬間から『明日』の未来に繋げて……心を育てていくのかもしれない。
闇は広がる。
けど、そこに僅かな光があれば……
周りが見えてくる。
「「「せーの……」」」
フッと息を吹きかけ、消える光。
三人は幼馴染からまた別の……
大切な存在に……
いつか、変わるのかもしれない。
『思うはあなた一人』
二人が帰った後。
天音の元に母親が到着した。
「お母さん。手術終わったら…ーーー」
「え?でも、それだと……いつ…」
「良いの。だから、お願いもう一度」
天音は、星空を見上げ……
ひまりから貰った
携帯用のボトルを握りしめた。
星空の下。
ひまりの髪に
キラリと光る三つ葉のヘアピン。
新しくなって、一つ戻る。
駐車場からホテルの入り口まで、歩きながら……
「ありがとう」
「言わなくて良いのに」
天音からヘアピンの話を聞き、
ひまりに少し笑顔が戻る。
家康はそれを見て、少し違和感を感じながらも……笑い返した。