第165章 涙色の答案用紙(29)修学旅行編
市内の病院___
時間外入り口から入り……
真っ先に向かう病室。
すっかり着物姿なのも忘れ。
白いだけの床の上を歩く。
早く、ひまりを見つけないと。
全部伝えて、全部聞いて。
ひまりを受け止めないと。
頭も心もひまりで溢れる。
……足を止め病室の取っ手に手を掛け。
中に入る寸前。
人の気配に気づいて振り返る。
明智先生が背後にいて
ひまりはここにはいないと。
「白鳥は今、寝ている」
ピンク色の封筒。
(小春川の話を聞く限り、ひまりはアレを受け取って……)
俺は明智先生に、時のチカラ……ワームホールの話を聞き出す。
もし、本当に心が影響しているなら。今まさにひまりの心は壊れかかっている。新学期に一回壊れかけ、ワームホールを呼び起こしたなら……そこまで考えて、俺は頭を抱えた。すると、「悔やんでいる時間はない」行け!と、強く背中を押され静まり返った院内を走った。
外に出た瞬間、ヘッドライトを浴びる。
赤い車が俺の真横で止まり、
迷わず乗り込んだ。