第165章 涙色の答案用紙(29)修学旅行編
商店街___
あてもなく歩きながら……
雨が降ってるとか。
まだ、着物姿とか。
修学旅行中とか。
時間を確認しないと。
皆んなが探してるかも。
迷惑かけちゃだめ。
頭で誰かが話しかけるように、
教えてくれてるのに……
何にも出来ない。
握っているのか。
しまったのか。
捨ててしまったのか。
ふと、手を顔の前に持ち上げる。
ピンク色の封筒。
(私の……私のだった……)
商店街の人混みの中。
私の隣をすり抜けていく人の肩。
一人でいると……
粉々に壊れた心の破片さえも消えてしまいそうで、ぽっかり穴が空いてしまったモノを埋めたくて……人恋しさから足が勝手に動く。
ガヤガヤして、車道を走る車の騒音。
耳に無理矢理、何かを届けて……
でも、何も聞こえ無い時間が欲しくて……彷徨い歩く。