第157章 涙色の答案用紙(21)修学旅行編
ひまり達が、えんむすび神社の鳥居をくぐると、光秀と信長はタイミング良く現れた。
「あれ?織田先生もですか?」
「折角だ。貴様の頭に歴史を叩き込んでやろうかと、思ってな」
ニヤリと笑う信長とは正反対に、ひまりは頬を引きつらせ、早速先ほどの滝水のご利益かな?と思い、はにかんだ。
何故か両隣を信長、光秀の先生二人に挟まれ……
「質問しても良いですか?……さっきから、気になってたんですけど……どうして、お寺の中に神社が?」
何故、天音じゃなく自分に?と、不思議に思いながらひまりは、信長に尋ねる。弓乃と政宗はその前を歩き、後ろを家康、天音が続く。
「クッ、お前らしい質問だな」
「神仏分離令は明治時代からだ。それ以前は、仏、神、区別なく信仰していた日本独特の………」
ひまりが頷きながら信長の話を聞く前で、階段を登りきった弓乃は政宗の腕を引っ張り、
「えびす様と写真撮ってよ!」
「お、おい!引っ張るなって!」
携帯を強引に押し付けると髪型と制服を整え、少し照れくさそうに撮影スポットの前に立つ。
そして、
「……いっちゃん。今夜、言う。ごめんね」
「……俺に謝る必要はない」
家康はそう告げた後、前を歩くひまりの髪にヘアピンが付いていないのを見て、視線を横に逸らした。
時を越えるチカラ……
ワームホール……
正体不明のモノが、忍び寄る中。
ある出逢いが……
ある心が……
二人を動かし始める。
ひまりは、どんな風に受け止め。
家康は、雨の中……受け止めれるのか。