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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第155章 涙色の答案用紙(19)




雷は過ぎ去り。
雨が止んだ夜。
水溜りの中に揺らめく月。


そんな中。

ピンク色の折り畳み傘を片手に、ひまりは自宅の前で、政宗にある物を手渡す。


「ありがとう。……優しくしてくれて」


傘を胸の前で持ちひまりは、
はにかんだ笑顔を見せた。


「当たり前だ。……大切な女。泣かせたくないからな」


政宗はそんなひまりに、優しく声を掛け少し前屈みになり、袋を持っていない方の手で頭を撫でる。


ひまりは、
家に入る前に二軒先の窓を見つめた。



(家康……)








シャッ……。


家康は雨が上がったのを確認する為、部屋のカーテンを開ける。


そして、ゆっくり振り返り……


「もう用は済んだから」


感情の読み取れない声を、天音に向けた。


「う、ん。……ありがとう。今日のこと、大切な思い出にするね」


いっちゃんが初めて、私のことを見てくれた日だから。

天音は、そう呟いて家康の部屋から出て行く。





ピロンッ。




『ごちそーさん』




シャワーを浴び、部屋に戻ると……
政宗から来ていた一件のメール。

家康はズルズルとその場に項垂れた。



(ひまり……)







修学旅行。


「愛」が

複雑に絡み、迷い、見失い。
四人のそれぞれの想いが、すれ違った中……


後一つを残し……



『思い出』『今』『明日』に向かう。




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