第127章 『熱い視線』
『アイスクリーム』
賑わう海の家。
その店内で、バニラのアイスを一つ注文する。
「いいの?本当に奢って貰って……後で、ちゃんと払うよ!」
ひまり先輩は申し訳なさそうな声で、じっと私が持つアイスを見つめた。本当に謙虚で愛らしいかたです。
「私がお誘いしたのですから、お気になさらず。それより羽織を脱がれたら如何ですか?」
万が一汚れてしまったら、大変です。とこじつけたような理屈を並べ、私がニコリと笑うとひまり先輩は、確かに、そうだね!微塵も疑うことなくそう羽織に手を添え……
「な、なんか目の前で脱ぐの恥ずかしいね///」
近くのベンチに二人で腰を下ろす。
それならば、後ろ向いて脱がれたらどうですか?と、提案するとふわりと一度笑顔を向けて下さり、くるりと背を向けてひまり先輩は徐々に肌を露出されていき……
私の視線は釘付けに。
長い髪の隙間から覗く華奢な肩。
白い頸。
堪らなく色香が漂い、後ろを向かれている分。存分にその姿を堪能させて頂く。
「ありがとう!いっただきまーす!」
「少し溶けてしまいましたね」
「これぐらいなら平気だよ!」
ひまり先輩は私の手からアイスを受け取ると、まずはパクっと一口。そして可愛らしく手を添え甘いと言って、嬉しそうに次々に頬張られ、溶けた部分を一生懸命チロチロ動かす赤い舌。
(アイスになれたらどんなに幸せでしょうか)
思わずそんな気持ちでじーっとアイスを見つめてしまい、
「三成くんも食べる?」
「いいのですか?」
食べたいから見ていると勘違いされたひまり先輩は、躊躇なく私の口元にアイスを差し出す。
(こ、これはまた///素晴らしい眺めではありませんか///)
どうぞ?と、首を傾げる笑顔の下でコーンの側部からポタリと伝い垂れる溶けたアイス。