第4章 同級生「伊達政宗」
桜の木を横目に、渡り廊下を歩き入学式が行われる体育館へと向かう。
「戦国学園入学式」
体育館前に建てられた、大きな看板。
一年前の緊張感がちょっと蘇り、ドキドキしながら中に入る。
うわぁ……。
去年もこんな感じだったんだ。
迎えられる立場と、迎える立場。
その少しの違いが新鮮な気分になる。
「ねぇ!今年の新入生代表、三成君みたいだよ!」
去年は家康だったよね?
前に座る家康に声を掛けた。
「………やっぱ、サボろうかな」
「何だ?二人、知り合いか?」
席を立ち上がろうとする家康のブレザーを引っ張りながら、右隣に座る政宗に三成君の事を話す。
「中学の後輩でね!可愛くて頭脳明晰な男の子なんだよ!」
「………可愛くないから」
「あのエンジェルスマイルは、最高の癒しなの!」
「腹黒エンジェルの間違いだし」
言い合う私達に間に政宗が入る。
「相変わらずだな、お前らは。新学期早々、揉めるな」
折角今年は三人共同じクラスになったんだからと言われ、素直にはーいと返事をする。
「いい返事だ」
私の頭をあやす様にポンポンと叩き、ニカッと笑う政宗は、一年生の時に同じクラスになって仲良くなった男の子。
街中にあるお洒落な和喫茶の息子さんで、同じ弓道部。話しやすくて、男気あってその上料理の腕前は最高!
(もう、一家に一人政宗!ってかんじだよね!)
うんうん。
と一人で頷いている間に……
前の席から、いつの間にか姿を消した家康。
えっ!
と後ろを振り返れば、そそくさと出口に向かって行く一人の背中。
「まぁ、入学式ぐらいすっぽかしても成績優秀な彼奴には、問題ない」
もう……。
「……俺にとったら、有難いしな」
「何で??」
政宗は何も言わず笑うだけ。
それからは、
担任の先生誰かな?とか。
部のみんなで花見したいよね!とか。
他愛のない話をしているうちに、入学式が始まって……。
「新入生代表、石田三成」
終始エンジェルスマイルを浮かべた三成君に癒されながら、気づけば入学式は終わっていた。