第126章 『星屑の夜景screen』※R18
人けが全くない展望台。
開放感が溢れた夏の夜。
こんな綺麗な場所ならカップルが沢山いても不思議じゃないのに……周りを見渡しても私達以外、誰もいない。
無言でキョロキョロと首を動かす。
すると、
「調べたからね。穴場」
私の考えてることなんかお見通しみたい。家康はそう言って、ニヤリと口角を上げた。
「ばかばかっ///」
「こら、暴れないの。大人しく夜景見てなよ」
ポカポカ胸を叩く私を完全に無視して、家康は夜景に背を向け歩き出す。
(そんな下調べは、いらないのにっ!)
煌びやかな夜景。
それを肩越しに見送りながら、車のリアゲートがゆっくり開く。お姫様抱っこされた私は、ここに来る前に乗っていた助手席じゃなく、そっと後部座席に降ろされた。
「ちょっと、待ってて」
家康は私に軽いキスをすると、一旦運転席に移動してエンジンをかける。そして再び後部座席に戻り、自分も乗り込むと扉を閉めて私の頬に触れ……
「後ろ向けば、いくらでも見れるから」
一度だけクイッと顎を動かす。
???
それにつられて視線を向ければ、
薄黒のフィルムが前面に貼られたリアウィンドウ。
そこには、
さっきまで見ていた夜景が、
映画のスクリーンのように広がっていた。
(も、もしかして後ろ向きに駐車したのって……///)
到着した時。
ちょっと疑問に思ったこと。
……その理由がわかるとある事が脳裏を掠め、胸がかぁっと、熱くなる。
「家康……」
触れられるのは、嫌じゃない。
久しぶりだから、触れて欲しい。
そう思っても、やっぱり狭い車内の空間と初めての体験に不安が混じり、か細い声が溢れた。
すると、家康は横に置いてあった二人用のクッションを取り、私を支えるようにしてそれを背中とシートの間に挟む。