第125章 『oceanブルーの横顔』(大学生version)
オーシャンブルーの光の道。
人の足元を見て、避けて、
フラフラフラフラ……。
崩れたメイク。
涙を止める為、それだけはさっき直して……高校生の時より、すこしは成長したよね?大人になってるよね?って鏡の中の自分に問いかけて、慰めて、励まして、隠れるように飛び込んだ女子トイレ。そこから、やっと踏み出す。
(はぁ……。久々のデートなのに)
いつでも繋がれる携帯を片手に、
出てくるのは溜息。
まだ、電源は落としたまま。
いつでも繋がれる安心感。
その所為で、余計に甘えて大事なことを見落としている気がする。
(……探してくれてるかな)
自分から逃げてるのに。
探して欲しいなんて。
すっごいワガママだよ……ね。
導かれるように辿り着いた、大水槽。
そこに今は、家康の横顔はなくて…
「一人?」
「良かったら一緒に回らない?」
バチが当たったみたいに、
家康と離れてから災難続き。
「すぐに来ますので!」
「さっきから、そう言ってばっかりで。誰も来ないしさぁ」
「コレ涙跡でしょ?彼氏と喧嘩したんじゃないの?」
ひたすら待ってるフリも限界。
時間稼ぎしても全然効果がなくて、
一人の男の人が私の頬に触れる。
背筋にゾクリと悪寒がして、
咄嗟に、
「本当に一人じゃ……っ!」
顔を背けて、手を振り払った時。
「お待たせ!姉ちゃん!」
え……!
「おねえちゃん!」
私が着ている白いワンピースの端っこ。
それを白いワンピースを着た女の子が握って、見上げる表情に、ふんわり花が咲く。
身長がグッと伸びた、ユウタ君。
私を守るように、目の前に立ち塞がり……
「チッ。ガキ連れかよ」
男の人達はスッといなくなる。
「悪党の正体が今、わかったよ!」
ユウタ君はそう言って、首を縦にうんうん頷くと、私の腕を引っ張って、歩き始めた。
成長した二人の姿。
今度は違う、涙が出そうになった。