第19章 「苺のポッキー(1)家康様編」姫主side
夕日が差し込む教室。
ほとんどの生徒が下校し、辺りが静寂に包まれる中、私は一人教室で日直の日誌を書いていた。
開いた窓からふわりと風が入り込み、胸元まで伸びた髪が揺れる。
グランドから運動部の、威勢の良い掛け声を聴きながら……
さっきから、シャーペンを持った私の手はずっと止まったまま。
(早く書いて、織田先生の所に持っていかなきゃ……)
頭ではそう思っても、手が動いてくれない。
はぁ……。
何だろうこの気持ち。
自分でも原因は良く解らない。
だけど……胸に何かが突っかかって。
(衝撃的だったからかな?)
家康が告白されている現場なんて、一年生の時も見たのに。
(やっぱり相手が………)
私はシャーペンをクルクル回しながら、二階の教室の窓から少し見える道場を見下ろした。