第112章 『happeningな一日』
ただの幼馴染……。
あれは、中学に上がって間もない時。
ーー泣かす事しか出来ないの?
ーー邪魔すんなよ!お前ら、ただの幼馴染だろ?
ーーチビ徳川の癖に、生意気なんだよ!
押し飛ばされた家康が立ち上がるのを見て、私は慌てて駆け寄って……
ーー違う……。家康はただの幼馴染なんかじゃない!!
ーーじゃぁ、何だ?彼氏とでも言うのか?
大事な幼馴染だからって。それでも家康は怒って喧嘩して……。
(ただの……その言葉に昔から敏感で……)
再び何事もなかったように、ケーキを食べ始めた家康。私も追求するのをそれ以上はやめて無言で、苺を頬張った。
折角、作ったのに。
重い空気の所為で台無し。
もうヤケクソみたいに私達はパクパクとケーキを食べながら、言い合いをする。
「ばか!」
「……ばかは、ひまり」
「家康だって、勝手に電話出られたら怒る癖に」
「……別に。ひまりだったら、怒んない」
「私、出たりしないもん!」
「前に幸村の電話出たの、誰だっけ?」
うっ……!
痛い所を突かれて押し黙る。
フォークが危うく喉に詰まりそうになる隣で、黙々と食べる家康。
そうだった。幸が私には全然連絡してくれなくて一回……。
「で、でもあの時は家康が横にいて……っ!」
状況がちょっと、違う!
って言いたかったけど、言い訳するのは良くないと思って、口を一文字に結んだ時だった。
プルルルル……。
三成くんからの着信。