第110章 『図書館青春』
中学三年の二月上旬。
戦国学園合格ライン……
ギリギリだった私は、苦手教科をカバーする為、受験に追い込みをかけていた。
でもある日。
返ってきた模試の結果を見て……
二軒挟んだだけのご近所に向かった。
「お願いします!お願いーーっ!」
「ってか、今更。もう、二月だし」
部屋に押しかけて早々、これ。
もう、土下座でも何でも出来る気がして、意地悪で意地悪で意地悪な幼馴染の家康に泣きついた。
成績優秀!学年主席!難関校から声がかかるぐらい頭の良い家康。滅多に教えてくれないけど、コツはいつも的確だし教え方も教えてくれさえすれば、わかりやすい。
ただ……
「明日の放課後!少しで良いから!」
私は手を合わせて、
チラッと様子を伺う。
問題は……
「はぁ……。わかった」
但し、条件付き。
いっつもコレ。
「……今回は何?」
「バレンタインのチョコ」
「チョコ?いつもあげてるよ?」
小さい頃から毎年必ず、頼まれなくてもあげている。首を傾げると、家康はまた溜息吐いて、
「他の男にあげるの禁止。今年は俺だけにして」
え??
何で??
「幸にもあげちゃダメって事?」
「勉強見て欲しいならね」
椅子を後ろ向きに座って、頬杖ついた家康はじっと私を見る。
その目は、どうすんの?そう言う目。
ちょっと、幸には申し訳ないけど……
私はチョコ以外を渡そうと決め、コクリと頷いた。