第106章 合宿あとがき
ひまりがバスに乗り込んだ後、
武将六人は揃い、星空の下。
「私も、抜け駆けの方でお願いします」
「……さっき、聞いたし」
家康は面倒臭さそうにボソッと呟く。
「他の皆さんには、まだお伝えしていませんので」
三成はニコニコと笑い、家康に宣言したように、他の武将にも伝えた。
「いつから報告と許可がいるように、なったんだ?」
抜け駆けとか最初から、無いだろ?
政宗が木に背中を預け、
頭を軽く振る横で……
「三成なりの誠意じゃないか?」
秀吉は笑う。
「貴様の好きにしろ。俺はどう動こうが監視などするつもりは、鼻からない。だが……」
信長は、ニヤリと笑い。
隣に立つ家康に視線を向けると、
フンっと鼻を鳴らす。
「邪魔はこれから、大いにしてやる」
「これからって。今でも十分邪魔……いっ!!」
「貴様は、口の利き方をいい加減に治せんのか?」
目上の者には慎め。信長は、家康の耳をグイッ引っ張り低い声で囁く。
光秀は一人静かに夜空を見上げていた。
(時を超え、再会など……)
何故、願ったのか。
未だに理解出来ないが……
「戦国姫の誤算だな」
「何がですか?」
嘲笑うような光秀の声を聞き、
三成は背後から話しかける。
「俺らを集めたことだよ」
秀吉も星を見上げ、
「何を言っておる。ぞろぞろと勝手に集まりおったのは、貴様らだ」
信長は岩に軽やかに乗り上げ、合宿所を見上げた。安土城を再現したのは、気まぐれだったが……愛着が湧きだす。
「誤算があるとすれば、武将全員に……」
惚れられたことだろうな。
そう思わんか?
「俺に言うの、止めて」
家康はバスの方向に足を進め、
「泣かせた時は、俺も遠慮しないぞ」
政宗は横から肩を組み、
「私は、伝えさせて頂きます」
三成は、二人の一歩前を歩く。
待機、攻め、守り。
「夏の大三角」は、
一番星を真ん中に囲い……
それぞれ違う想いを抱く。
覚醒をはじめた、現代の戦国姫。
想いを告げられ……
想いを焦らされ……
想いを秘められ……
儚く美しく咲き乱れる。
合宿編〜(完)〜