第14章 卯の花月(2〕
___女子更衣室
胴着から制服に着替える間、皆んなは新入部員の三成君の話題で盛り上がっていた。
「ねぇねぇ!三成君って、中学どんな感じだったの!?」
「凄い成績優秀って聞いたし!何でうちの学校受験したの?」
同じ中学だった私は、さっきから質問責めに。
「えっと、中学の時は〜………」
身長も私と変わらなくて、可愛くて、優しかったかな?と答えると、皆んなは驚く。
まぁ、無理もないよね。
今の三成君は、大人っぽくて身長も高いし。
変わっていないのは、優しい所ぐらいかな?
「あと、受験した理由は特に言ってなかったから」
私も聞かなかったしね。
彼女はいる?
好きな食べ物は?
この後も暫くそんな話が続いた。
外に出ると、もう暗くなってて。
家康と政宗の二人が入り口で待っててくれた。
あれ?三成君は?
てっきり同じ方向だから、一緒に帰るのかと思っていた私が二人に聞くと……
無言で指をさす二人。つられる様に視線を追えば体育館前で、女の子達に囲まれている三成君の姿がそこに。
「ふふっ。三成君、早速モテモテだね!」
「……別に、約束してないし。帰るよ」
「流石に疲れたしな。……誰かさんが男子部員、大量に入部させたお陰で」
誰かさん??
政宗は私の頭をわしゃわしゃと掴む。
まぁ、半分は夏までに居なくなるから良いけどなと言って歩き出す。
私の乱れた髪。
隣に居た家康が指先で直してくれる。
「あんまり、余所見しないでよ」
「へ?暗いし、ちゃんと前向いて歩くよ?」
「……ばーか」
呆れたように、私のおでこを人差し指でツン、と押す。
行くよ。鞄を背中に掛けた、家康。
先に歩き始めた政宗を二人で早歩きで追いかけた。