第103章 夏の大三角(11)殿様ゲーム編
「広がって、いつまでも色褪せない。そんな所が……」
初恋と似てるなって。
半分開いたタイムカプセルが、
それを教えてくれた気がした。
私は無意識にぎゅっと……
左耳上に触れる。
ヘアピンの最近の定位置。
すっかり癖付いちゃって……
こめかみ付近に指をあて、
そっとモチーフ部分に滑らす。
太陽の光を吸い込んで、熱くなってる。
二人は笑わず、ただ真剣に聞いてくれて……。恥ずかしくなって、なんてね〜?って茶目っ気に笑ってみせた。
「急に何、言ってるんだろうね!ほら〜やっぱり皆んなが毎晩、恋話で盛り上がるから〜!」
毎晩聞いて、伝染したのかな?
ずぶ濡れだったTシャツが大分乾き、ゆっくり起き上がる。すると私の寝転んでいた部分が、シミになったみたいに岩に染み込んでいて……
影ができていた。
少し小さめの影。
ちょうど、
小学生の頃の……
私の大きさみたい。
「初恋かぁ……。私は、近所の大学生のお兄さんだったなぁ〜」
ゆっちゃんが手を顔の横で組み乙女っぽく身体を揺らすと、副部長も続いて私は塾が一緒だった年下の男の子だったわね!って二人共すっかり、恋モード。
「大学生とか、無理に決まってるのにさぁ〜〜あの頃は、やっぱ夢見るお年頃ってやつかな!」
「前、テレビで八割成就しないって言ってたからね」
「もし初恋の人を、また好きになったら。それでも……」
実らないのかな?
会話を聞いていた
私が、
何気なくポツリとそう呟いた瞬間……
二人共くるっと首を動かし、
隣にいる私をまじまじと見る。
そして阿吽の呼吸のように、
二人は顔を見合わせ大きく頷くと……。
「「それは初恋じゃなくて本気の恋」」
え???
本気の恋??
「「つまり……!」」
二人はガシッと私の肩に手を置いて、
何か言いかけた時。
「おっ!ここに居たか!」
「探しましたよ」
「ってか、いい歳して水鉄砲とか」
政宗、三成くん、家康が現れて更にその後ろには、明智先生、秀吉先輩の姿と……
「貴様らも、参加しろ」
拒否権一切なしの
『殿様ゲーム』にな。
合宿最終日。
ドキドキハラハラは、まだ続く。