第13章 卯の花月(1)
三成は掴まれた自分の腕をじっと見る。
「……ってか、弓道部入んなくて良いけど」
「家康先輩、お久しぶりです。相変わらず見たいですね」
「それは、こっちの台詞」
ニッコリ笑う三成君とは対照的に、何故かすっごく機嫌悪そうな家康。
「あっ!家康!ちょうど良かった!」
私は落ちたチラシを拾い、三成君を道場まで案内してあげてと頼む。
すると、何故か三成君は訝しげな顔をして……
「家康先輩じゃなくて、私はひまり先輩に……っ」
「何で、俺が三成なんか……っ」
私は文句を言う二人に折角久々に会ったんだし、と言って背中を押す。
「家康の分のチラシも、配ってきてあげるから!」
ね?と笑うと家康は重い息を吐きながら、解った。と言って、三成君の首元を掴み歩き出す。
仲良くして貰わないとね。
三成君、弓道部入る気満々だったし。
私はくるりと背を向け、チラシを配りに戻った。