第95章 夏の大三角(4)
「おいひぃ〜〜♡」
「ですが本当は売り切れていた、数量限定品のエンジェル特製生クリームたっぷりふわふわがけ!を食べたかったのでは?」
「んぐっ!!……んんっ!」
「だ、大丈夫ですか!?」
平然とした声でその商品名を口にした三成くん。驚いて思わず喉にパンケーキが詰まりそうになる。
差し出された水で流し込み、はぁ。
落ち着いた途端、今度は
「ふふっ!三成くんのそういう所、私好きだよ!」
笑い出す私。
「ほ、本当ですか!?///で、でわ何度でも言わせて頂きます!エンジェル特製生クリームたっぷりふわふわがけ!エンジェル特製生クリーム……」
フォーク片手に目を閉じながら、
まるで呪文を唱えてるみたいに……
「ぷっ…!くっ!……」
周りの目なんて気にせず三成くんが何度もそう言うから、私はお腹を抱えて必死に声を押し殺しながら笑う。
やっぱり中学の時みたいに、
可愛い三成くんのが良い。
心底そう思った。
「三成くんはやっぱりエンジェルだね!ほんと家康とは、正反対!」
「……また、家康先輩ですか」
ポツリと呟いた三成くんの声。
騒がしい店内では聞き取ることが出来なくて、私が首をかしげると……
三成くんは何でもありませんと言って、伏し目がちに笑った。
(意地悪デビル家康は、今頃何してるかな??)
今朝きた一件のメール。
帰りは遅くならないように!
フラフラ寄り道せず、真っ直ぐ帰ること!変な人についていかないこと!
まるで保護者みたいな注意書きメール。
そして最後に、
『三成に、言い寄られたら全部回避すること』
意味不明の一言で、
最後は締めくくられていた。