第93章 夏の大三角(2)
(政宗様視点)
店内のクーラーの風。
厨房に居る俺には全く無縁だ。
夏休み入った途端。
店は繁盛し、ここ数日忙しい。
(ひまりのやつ、今頃補習か?)
歴史の赤点補習。
実は俺も一日だけは来いと、
担任から言い渡された。
今日行くつもりで段取りしていたが、そんな暇なんぞ朝から無い。しかし、あの噂の鬼補習をあいつが一人で受けてるかと思うと、気にはなる。
(一日だけ呼ばれていると、言えば……やたらと喜んでたしな)
どんな補習なのか、
俺は知ったこっちゃねえが。
あの様子だと、何か凄え事でも。
「政宗!今日、部活あんだろ?」
「まーな。客足減ったら、行こうと思ってな」
親父に返事を返し、
軽く店内の様子を伺う。
どうやら、大分履けたらしいな。
この時間だとまだ……。
今、作ってる料理仕上げて
ちょっと様子見に行ってやるか。
あばよくば、補習一日分を帳消しにして、貰えるかも知れねえしな。
俺は冷蔵庫の中から、来月の新作スイーツを取り出し保冷剤入りの箱に詰める。
「悪いが、先上がる」
汗だくになり、上着を脱ぎシャワーを浴びる。
軽く冷気にあて、火照る身体を冷ました後、
制服に着替え俺は店を後にした。