第88章 『二つの夢物語』
ふわりと浮いて……
ゴン!!!
「い、いったぁい!!」
ベットから不自然な体勢で落ち、地面に頭を強打する。私の身体はそのままズルズルと床に転がり……。
目が覚めた。
スッーと風が部屋の中に流れ、
無用心にも窓は開けっぱなし。
差し込む朝日の光。
頭を抱えながら、
(そう言えば!家康と電話の最中に!)
起き上がり携帯を探す。
『電話中に普通、寝る?しかも数秒で。ばかひまり』
家康からのメール。
あちゃー……。
何か凄い夢を見ていた気がするのに、全然思い出せない。
(家康の声を聞きながら、眠ったからかな?)
ミルク入りのキャンディみたいに、
すっごい甘い夢。
そんな夢を見ていた気がする。
「あっ!!今日!終業式だ!!」
私は大きな独り言を言って立ち上がり、窓を閉め机の上に置いたままの写真をアルバムの中に仕舞う。
終業式の後は、ずっと楽しみにしていた演劇部の催し、戦国シンデレラ。秀吉先輩特別出演の劇がある。
合宿の打ち合わせ、後は多分……期末の赤点補習が言い渡される気が……。
ワクワクとトホホ。
両方ありそう。
私は指を動かし、メールを返す。
『おはよう!合宿の打ち合わせ、家康いないのちょっと寂しいけど……後で決まったこと報告するからね!』
何で、こんなメールを打ったのか……
自分でも送信してから、不思議で仕方なかった。
未来妄想夢の中の私。
その中の私の想いが
込められていたのかも……知れない。