第88章 『二つの夢物語』
私は二人にその話をした後。
「だからね!この写真は私の宝物なんだぁ〜」
政宗から写真を返して貰い、胸の前でそっと包み込むように抱き締めた。
家康の優しさ。
二人に教えたくて持ってきた。
(成り行きは、小さい頃の家康が女の子みたいだったって話からだったけどね)
目を閉じる私に、誰かが肩を叩く。
???
瞼を持ち上げ、振り返れば……。
あ……。
「で?その宝物を何で二人に見せてるワケ?」
俺の黒歴史を。
家康は物凄い黒いオーラを出しながら、そうポツリと呟く。
私は、頬の筋肉を引攣らせながら……
逃げようとした時。
ガシッ!!
後ろから家康に羽交い締めにされ、完全に逃げ場を失った。
「ご、ごめんなさいーーっ」
「謝って済む問題じゃないし!早く貸して。没収するから」
「やだやだーーっ!宝物だもん!」
「なら、持ってくるな!!」
私は必死に胸に抱え、取られまいと必死にもがく。家康は、プチンッと血管が切れそうなほど怒りながら……
「あはははっ!く、くすぐったい!」
「渡さないと、もっと凄いことするよ……」
家康の手が胸元に伸びてくるのを見て、私は慌てて腕から逃げて教室を走り回る。
「良いわね〜幼馴染って」
「……ったく」
昼休みが終わるまで、しばらく私達の鬼ごっこは続いた。
〜ただの苺味〜完