第294章 〜ending〜卒業式〜
先に行ってるよーっ!打ち上げに向かう皆んなの背中を見つめた後。
私は家康に渡された書物をぱらりと捲る。
「これ……」
「俺たちの物語らしい」
そこに記されていたのは、私達の二年間の思い出。私は1ページ1ページ捲るごとに涙が零れそうになって……書物に涙が落ちる前に慌てて拭う。
「……一緒に読もうか?」
「うんっ!」
私は家康の膝の間に割って座る。
春風に包まれながら……
「ある戦国武将と同じ名前を持つ男と、姫君は恋に落ちました。二人は幼馴染で……
綺麗な三つ葉のクローバーが咲いたある日……想いを通わせた二人。
すれ違いの日々を重ね、
愛を育みながら……
数々の試練を乗り越えていきます。
そして、
もう一度石碑の前で、永遠の愛を誓いました。巡り合った……運命の愛を……」
クローバーがまだ開花時期を迎える少し前の地面の上で……
「ずっと大好きだよ」
「……俺も。ひまりはずっと俺だけの……」
お姫様だよ。
もう一度、永遠の愛を誓った。
〜天邪鬼と学園生活〜fin〜