第287章 あなたに何度でも(7)
連日続く不思議な夢。
ーー……今夜は全部貰うから。
透き通った綺麗な肌に、俺は自分の中にある全ての熱で触れ……肌寒い冬の夜をお互いの肌で溶かした。
ーーい、…えやす、…さまっ……。
ーー……あんた、の中溶け…そっ。
初めて抱く女が、
初めて愛した女。
それ以上の幸せを
俺は知らなかった。
ガバッ!!!
朝光が眩しく部屋に差し込む。
(今のは…………)
目覚めるといつも不思議な感覚に陥る。まるで自分がそこにいたような……
(何だ……胸が苦しい……)
ぎゅっと締め付けられた胸。
何か思い出しそうで思い出せない。
前髪をくしゃっと掴んだ時だった。襖の向こうからカチャリと音が。俺は指先で前髪を掬いながら、顔を上げた。
「家康様。朝餉をお持ちしました」
返事をすれば、女中が膳を運びながら部屋に入ってくる。
「今日は城に行かれる日ですから、早めにお支度をして下さいませ」
「……分かった」
織田信長に会いに行くと思うと、正直行きたくなかったが……永遠の剣について何か分かるかもしれない。それに外出も堂々と出来る。
そう思うと準備は早く進む。
数人の家来に付き添われ、俺は安土城へと向かった。ある程度、歴史で勉強していたからか城を見てもそこまで驚くことはなかったが……それでも時代劇の中を歩いているみたいで落ち着かない。
広間へと案内され……
「あの女との睦言はどうだ?」
「…………あんたには関係ないでしょ」
会って早々の開口一番がそれ。それに対して自然と出てきた言葉。まるで今までもこんなやり取りをしていたように、口からごく普通に零れる。
「貴様…………」
鋭い視線が突き刺さっても俺は御構い無しに、そっぽを向けば……
「ふんっ!相変わらず可愛げない餓鬼だ。今日はその根性を叩き直してやる」
庭に出ろと言われ……。