第283章 あなたに何度でも(3)
祠の前で、
雨を弾くピンク色の傘。
それを見つめる者達が居た。
「ったく。何なんだ?雷が落ちたかと思えばワームホールだとか、ひまりが天女だとか……わけわかんねぇ」
「けれど、石碑は見事に真っ二つになっていましたね。明日、学校で一騒ぎありそうです」
政宗がガシガシと頭をかき、理解できねえと声を零す隣で三成は心配そうな表情を浮かべる。
「佐助が再び、ワームホールの観測をしている」
「しかし、ひまりも大分元気を取り戻したようですね」
「後は家康が無事に戻るか……だな」
三人も政宗達同様、
ピンク色の傘を見つめる。
三つの神器の内の一つ。
戦国姫が残した翡翠石が付いた耳飾りと指輪……約束の玉。
それは、信長の手の中にあった。
(もう泣かないよ……だから早く……)
見上げた月のない薄暗い空。
ひまりは胸の前で手を組み、まるで祈るように目を閉じた。その手は指が食い込むぐらい強く握られ、固く結ばれる。
(家康………)
♩♩♬……
そう、例え時が離れていても……
離れて居る時間が想いを熱くさせ……
(早く会いたい……)
ひまりの心の花を綺麗に咲かす。