第274章 天邪鬼の愛〜真紅〜(16)家康さまside※R18
汗ばんだ肌はお互いの熱で引っ付く。
このまま二人で溶けたら、どんなに幸せだろう。
ひまりにずっと触れていられたら……
時間なんて止めれるわけないのに。
時間さえ止まれば何でも出来る気がした。
カチカチカチカチ……
俺の思いなんか無視して、針は時を刻む。
ぱちゅぱちゅ……!
繋がった部分から響く。
肌に唇を寄せ吸い付き、俺の跡を幾つも幾つも刻み、俺はあることを誓う。
(これが消えるまでに……)
俺は……。
頭を振り、近い限界を感じて、ひまりをそのまま押し倒す。
「また、いっちゃ……っ……」
赤い瞳をして涙を流すひまり。
「見せてよ……。ひまりの全部」
俺の欲望で果てる所を。
「くっ……出すよっ……」
「ひやぁあっぁあっ……」
カチカチカチカチ……。
隣で寝息を立てるひまり。
どれぐらい見ていたか忘れるぐらい、俺はその寝顔を見つめていた。
カーテンの僅かな隙間。
そこから差し込んだ金色の光。
「い、……えやす……」
繋いでいた手をそっと解くと、ひまりは寝言で俺の名前を呼んだ。
(ごめん…………)
ごめんしか残せない自分が情けなくて、行き場のない感情を拳を強く握り閉じ込めると、うっすら開いた唇に自分の唇を重ねた。
ガチャ。
「…………良いのか。泣きじゃくるぞ」
「………………」
俺は返事もせずに荷物を持って外に出ると…………。
「……っ……!」
頬を伝った生温かいモノ。
明けたばかりの空が、朝の冷気とともに新鮮に輝いていて見えた。