第264章 天邪鬼の愛〜真紅〜(6)
時刻は午後三時過ぎ。
三成と政宗からやっと解放されて、目当ての参考書も買い、小腹がすいた俺はどっかのファーストフード店にでも寄ろうか悩んでいると……
「あ!先生だ!!」
冬花(とうか)が指をさして嬉しそうに走り寄ってくる。
「家康くん!お買い物かしら?」
「はい。ちょっと参考書を買いに……」
「なら、こっちの袋は何を買ったの?」
つんつんと冬花が触れたのはひまりへのクリスマスプレゼントが入った紙袋。俺が思わず口元を緩めると、冬花は何か閃いたような顔をして……
「分かった!彼女のプレゼントだぁ〜」
にこりと笑った。
「…………内緒」
俺がそう言うと、母親はクスリと笑い、折角だから今までのお礼をさせて欲しいと言われ、断るが………
「冬花!駅前のレストランでケーキ食べたいな!」
冬花に腕を引っ張られ、ファミレスに行くことになった。
まさか…………
そこに……
ガシャン!
「ひまり!何でここに……」
「え?……家康くんお知り合い?」
ひまりが居るとは知らずに。
「……っ……」
ますます状況は悪化。
ウェイトレス姿のひまりの目に浮かぶ涙を見て……絶望に引きずり込まれる。
「私達が今日は送ってくから、しっかり話をしなさいよっ!」
その後、どうやって家に帰ったか覚えていない。ただ脳裏に焼き付いたひまりの表情が頭から離れなかった。