第263章 天邪鬼の愛〜真紅〜(5)
付き合って三ヶ月が過ぎ。
私達に訪れた危機。
その後、四時入りのパートの人と交代して、バイト料を受け取った私は無言で歩くゆっちゃんと副部長の隣をふらふら歩いて……
それでも……
「ありがとうございました」
予定通り腕時計を受け取りに行った。
緑色の綺麗な包装紙でラッピングされたそれは、真っ赤なリボンが付いていて……
いかにもクリスマスって感じで……
手のひらより少し大きいサイズで……
「……っ、……」
ぽたぽた。
そのリボンの上を涙が弾く。
「サンタさん来てくれるかなぁ?」
「きっと来てくれるわよ」
耳に届いた家族の明るい会話。
ーーふふっ。クリスマスは、サンタコスイベントやってるかもよ?
ーー良い子にしてないと、プレゼント。届かないかもね?
ーーはーい!ふふっ。でも、一緒に過ごせるのが一番のプレゼントだから……
や、く、そ、く!だよ!
撮影の時に交わした会話を思い出して、胸がぎゅっと締め付けられるぐらい苦しくなった。