第257章 『一周年記念作品』学園祭♡二日目
その頃、とある焼肉店では__
煙がもくもくと立ち込める店内で、せっせと筆をノートに走らせる者がいた。
「はい!まるけちゃん!焼肉焼けたよ〜」
「さ、咲ちゃん!まだ!自称いっちゃんだから、ここはいっちゃんでお願いしまーす」
自称いっちゃんはあたあたとした後、しーっ……と人差し指を口元に立てぐるぐるメガネを装着。
「ほぉ〜了解だよ!ほら、いっちゃん!カルビ焼けたから食べたら?」
「ありがとう咲ちゃん!待ってね!もう書き終わるから!」
一周記念作品ということで、力が入っていたいっちゃんはスラスラとノートに何かを書くと、筆を置き、おしぼりで手を拭く。
じゅーっ……お肉の焼ける匂いにつられ、食欲も出てきた頃だ。
「「いっただきまーす!!」」
二人は手を合わせ、お肉をタレの入った皿の上にのせ頬張る。美味しいね!そう声を掛け合い、満足そうに笑った。
その直後。
「一時間後、団体客入りまーす!」
粋の良い若い男性店員さんの声が店内に広がる。奥座敷の広いスペース。そこの机の上に予約席というプレートが立てられ、自称いっちゃんは口をもぐもぐ動かしながら、うんうんと頷くと………んぐっ!喉を詰まらせトントンと胸を叩く。
「だ、大丈夫!?は、はい!お水っ!」
「ゴクゴクッ!……はぁー。あ、ありがとう!お腹減ってたから、つい口いっぱいに頬張っちゃって!」
クスクスと笑う咲ちゃん。自称いっちゃんは優しいなぁ〜と、思いながらトングを手に取りお返しに肉を焼き始めた。
沢山の優しさ。
沢山の思い。
沢山の時間。
それも一緒に噛み締めながら、ノートをパタリと閉じて、みっちり一時間。焼肉食べ放題を満喫したのだった。
〜学園祭二日目〜fin〜