第254章 『一周年記念作品』※告白シュチュエーション②
ナレーション___
『現代文の教師は3年B組の担任。柔らかな微笑みはエンジェルスマイルと言われ、垣間見せる少し抜けた一面が人気を呼び生徒からは慕われていた。しかし、その優しさ奥には情熱な心がベールに包まれていることをまだ誰も知らない……」
〜もし生徒と教師の関係だったら!?〜
過ごしやすい休日の秋。そよぐ風を少し開いた窓から受け教室の廊下側の扉からすり抜けた。白いチョークが黒板の上を滑らかにカツッ、カツッ、音を立てながら、読みやすい綺麗な字を綴ってゆく。
補足授業……
訪れたのは、生徒一人。……私のクラスの生徒である天野さんのみ。
背中越しに受ける視線に、少しばかり緊張するのは……きっと貴方が真剣な瞳で見て下さっているからでしょうね。
「……と、いう解釈になります。これについて何か解らない箇所や質問などは、ありますか?」
コトッ。
チョークを置いて、私は振り返る。すると、目と目が線で繋がれていたように衝突。彼女はその事に瞼を持ち上げて驚きを微かに見せると「大丈夫です」と答え、机の上に視線を縫い付けた。
「些細なことでも他のことでも構いませんので、遠慮せずに聞いて下さい」
私は教壇に片手をそっと置き……
正面に体を向けると……
「貴方しか生徒は来ていませんので。……今は…二人っきり…ですからね?」
二人っきり……その部分を意識して貰えるようにあえて区切り、ゆっくり告げると私は微笑む。すると、天野さんは手に持っていたペンをノートの上に置き……
「……な、なら、先生。卒業文集に載せる作文を少し見て貰えませんか?」
黒髪の流れ落ちる横髪を掬い、片方の耳にかける仕草は私の視線を釘付ける。
卒業……その二文字に、ちくりと棘が刺す痛み。胸の中で隠れた想いにその言葉は触れ、私は誤魔化すように静かにゆっくりと頷いた。