第252章 『一周年記念作品』学園祭♡一日目(前編)
観客が静かに見守る中。
三成は副部長を自分の方に引き寄せる。
熱い眼差しを向け……
「優勝なんて高望みはしません。……ただ、貴方とこうしていられるだけで……」
そこで言葉を区切り、眼鏡を外すと蔓の部分を副部長の赤い花びらに似た薄い受け唇にそっとあてがい……
にこり。
「私にとっては夢のようなひと時です」
ドキッ///
フェロモン全開の甘い極上笑顔を見せた。
(ほ、本当に…み、三成くん///?)
副部長は至近距離でそれを受け取り逆上せたように頭がクラクラに。
そして息を呑み、静まり返った会場。
はぁ……///女子生徒のうっとりした吐息があちこちで次々と漏れ出す。
しかし、名コンビ司会者二人はそんな甘いムードをバッサリ切り込むように審査員席に同時に体を向け、
「さぁ、二人のリンク度は!」
「判定はーーっ!」
興奮した様子で、再び会場を盛り上げる。ステージの後ろにある体育館の壇上。そこの幕がウィーン……電動式で開く。現れた大画面。某テレビ番組ではもはや欠かせないセット。点数が表示される仕組みのものだ。
「審査員の方、宜しくお願いします」
「何点だ!何点だぁ!あっ…間違えた。何パーセントだ!何パーセントだ!」
一桁目は固定の0。
二桁目の数字が1から上り始め……
6の数字でピタリと止まった。
「リンク度60パーセント」
「ふむふむ。なかなかの高得点!」
佐助としほは示し合わせたように、
眼鏡のフレームを持ち上げる。
「ふっ。三成にしては頑張ったほうではないか?」
「これが基準になるのか」
「高得点かは微妙だな」
それから三組ほど続いたが、三成と副部長の得点を超えるカップルは現れず。
「では、次のカップル」
「五組目は…おっ!ついに!コホン…失礼しました。次は、付き合ってまだ日も浅いほやほやのお二人〜〜!」
「伊達政宗さんと……」
「小春川弓乃さんこと!ゆっちゃんペア〜〜」
段々司会っぷりに板が付いてきたしほ。日頃、一押しキャラのゆっちゃんに絶大な期待を込め、入り口に手をバッと向ける。