第249章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(36)時を繫ぐルージュ編
多彩な色を持つルージュのように、
いつまでも色褪せない思い出。
ラストカット……ひまりは、家康の脚の間で少し斜め向きに柔らかくぺたりと座り、くまの縫いぐるみを自分の膝に乗せる。
幼馴染として、
積み上げてきた大切な過去。
「大事にしてくれて///ありがとう」
少し横向いたひまりの顔。紅潮した頬が控え室での出来事を意味し、幸せそうな笑顔が咲く。
同級生としても、
積み重ねてきた大事な時間。
「今夜。……我慢できなかったら、こっそり部屋に忍び込むかも」
家康は自分の曲げた方の膝上に肘をつけ、あくまでも言い方は冗談ぽく。しかし、ひまりに向けた視線は真っ直ぐで熱いもの。
「我慢って……?……え?…あっ…/// 危ないから絶対にだめっ///」
「煙突ないから、ベランダから進入。……昔、みたいに」
「もうっ///忍者じゃないんだから!絶対にだめだからねっ!」
「忍者じゃなくて、早めのサンタかも」
懐かしいクリスマス秘話。
(確かあの時、お父さんに見つかりそうになって……)
(ベランダに隠れて……次の日、風邪引いたっけ?)
昔の話を種に、
咲かせる二人の思い出は、
心の中で繋がる大事なアルバム。
そこには嘘偽りない『真実』の想いと、
数々の『約束』も含まれ……
恋人として、
積み過ごしていく未来の二人。
これからも『永遠』に続いていくと、
信じてやまなかった。