第247章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(34)時が繫がるルージュ編
染まったばかりの唇。
目の前にいる愛しい人の口元を染め、
そして……
「目、閉じて……」
また、愛しい人に染めて貰う。
自分だけが色に染まるのではなくて、二人で『中紅色』に染まった。
来週で付き合って二ヶ月。
いろんな出来事があったけど、まだこれからもあるかもしれないけど……
「……これで早く治る」
唇に付いたルージュを親指で滑らかな動きで拭い、ペロリと舐めとる家康。
「ふふっ。浸みて逆に痛くない?」
全然……
二人で乗り越えて、二人で思い合って、二人で沢山過ごせた……そんな月だった。
「……ドキドキするぐらい格好良いよ///」
「……その赤いの。…移るからやめて///」
付き合って三ヶ月目は……
クリスマスは……
「……25日、昼から空けといて」
「昼から?……うん!なら、待ち合わせ場所は時計台ね!」
「また、待ち合わせ?」
「時計台のツリー見たいからっ!」
交わした約束。
その日は、
どんな二人になってるのかな。
携帯画面と睨めっこする家康の背中を見ながら、私は鏡の前で大きく頷いた。