第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18
メイクルーム。
スタジオと同じ二階にあって、エアコン、冷蔵庫、ストーブ、大きな鏡と洗面台が装備されていて、広さは十畳ぐらい。コンセントがたくさんあって、ヘアアイロンやドライヤーなどが使いやすい工夫がされていた。
広さは10畳弱くらいあって、
私の部屋より大きい。
そんなメイクルームの中に置かれた、
目に優しいそうな緑色のソファ。私はそこに座り、携帯でゆっちゃんから連絡がきてないか確認していた。
(もう、三時前。副部長と三成くん、隣の喫茶店に行ったのかな?)
お昼の時にデザートメニューを広げて、三時のおやつに食べに来ようと二人で話していたのを思い出す。私は良いなぁ〜なんてちょっと羨ましく思いつつ……
チラッと扉に視線をむけた。
それにしても……
「家康の猫っ毛にでも、苦戦でもしてるのかな?」
つい、独り言を呟いてしまう。
文化祭の時にヘアセットしてたらワックスとか付けても「すぐヨレるから」「ベタベタすんの苦手」だからしないって、愚痴をこぼしていたのはつい最近の家康。
最初のツーショット撮影の時に少しだけヘアセットしていた。プロでもやっぱり猫っ毛の髪質は扱いにくいのかな?なんて、一人でクスクスと暫く笑った後……
私は不意に前にある大きな鏡が気になって、立ち上がる。
(そんな、ちょっとの変化には気づくのに……)
沈みかけた表情。
その時、コンコンッとノックが二回。
てっきりスタイリストさんが戻ってきたと思って「はーい」そう返事をすると……
「ひまり」
名前を呼ばれて扉を開ければ……
「スタイリストの人から伝言。ルージュを自分で塗って五分後ぐらいにスタジオに来るようにって」
白いニット姿の家康だった。
「うん!わかった!」
「……その格好。……綺麗で可愛い///」
手で顔を半分ぐらい隠してるけど、赤らんだ目元はばっちり見えてて……翡翠色の瞳をちゃんと見て「ありがとう///」ってお礼を言う。
「なら、今から塗るね!……わぁっ!」
今、履いている……
編み上げショートブーツ。