第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18
コンコンッ。
サンドウィッチをお腹いっぱい食べて、副部長とも久々にいっぱい話せて、ご機嫌で私はメイクルームの扉をノックする。
(あと、三回?衣装替えをするんだよね?)
午後からは、
家康とツーショット撮影。
前の時は恋人ごっこでケーキ食べさせあいっこしたり、シーツ被ってルージュを塗って貰ったりしたけど……今回は「ごっこ」じゃないから、ドキドキでもまた違ったドキドキ。
メイク中にうっかり口元緩めて、スタイリストさんにニヤけてるって言われて、鏡の中の私はチークをのせた頬を更に染めてはにかむ。
「ラブラブだね〜で?告白はどっちから?」
「クリスマスデートの予定とか決まってるの?」
色んな質問されて、私もヘアメイクの仕方とかデート服のオススメとかを聞いて話に夢中になっている間に、完成。
「私のオススメ!クリスマスコーデに正統派ハーフアップに今っぽさをプラス!名付けてほの甘ハーフアップくるりんぱ」
前から話しやすいなと思っていたスタイリストさん。自信満々に私の肩に手を置く姿が何処となくゆっちゃんに似てるからかも?なんて思いながら、赤いVネックニットに、白の膝丈フレアスカートに着替えた私はスタジオに向かう。
カツッ……
(履きなれないから、ちょっと歩きにくい……転けないようにしないと……)
7センチの真っ赤なピンヒール。
歩き慣れない上にストッキングも破らないように気をつけて歩いていると、つい視線が足元ばかりにいって……
余計に意識し過ぎた所為か……
カクンッと膝が折れて、
「あっ!!」
バランスを崩して体が前に傾きよろめくのと、短い声を上げるのがほぼ同時。
咄嗟に壁に向かって伸ばした手。
それが引っ張られて……
(え……)
「……ドジ」
一瞬、聞き取れなかった。
それぐらい小さくてくぐもった声。