第228章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(15)
そして、もう一組……
政宗と弓乃が教室へと向かう、少し前。
好天に恵まれた暖かな昼頃。
それでも時折、吹き付ける風は冷たい。
グランドに設置された、パイプ椅子が並んだ休憩用のテントの下。まるで暖を取るように、湯気をふきながら、甘辛いソースを絡めた焼きそばを分け合う、三成と副部長の姿がそこにはあった。
「へえ。三成くんのクラスは、露店ゲームの出し物をしてるのね」
「はい。小さいお子様を連れた、ご家族のお客様が大半です」
スーパーボールすくいに射的、輪投げやお菓子釣り。まるで「縁日」のような、小さい子供向けの楽しげなゲームを教室で取り揃え、賑わっていたのだが……
「良いの?こんな所で、呑気に焼きそば食べてて?」
「クラスの皆さん、お優しいかたばかりで……お忙しい筈なのですが、私に時間など気にせず、ゆるりと休憩を取るようにと声を掛けて下さり」
感謝するように、
にっこりと笑みを浮かべた三成。
ただ単に三成のドジ続きに頭を抱えたクラスの男子が、早めに休憩を取らせていたのだった。
(きっと、また何かヘマをしたのね)
そのことに、薄々気づいた副部長。苦笑いを返すが、三成のある言葉ですぐに心からの笑顔を見せる。
「昨日、秀吉先輩に時先輩の休憩時間を事前にお聞きしていたので」
「あ、ありがとう///」
真っ先に自分の元に来てくれていたと知り、自然と溢れたのだ。頬を赤くする副部長。それを見て、三成は穏やかな笑みを浮かべた。
家康とひまりの今の状況を全く知らない、二人はほのぼのした時間を過ごしていたが……
「君、弓道部だよね。確か……」
一人の他校生に、声を掛けられていた。