第207章 『デートって何?』
デート当日___
腕の下でゆらゆら揺れる……
ポンポン付きのニットバック。
地面を駆ける……
ペタンコのショートブーツ。
息を切らして改札口を通り、ギリギリセーフで、乗り込んだ電車。
私は呼吸を整えて、一人そわそわしながら、席が空いていても座らずにドアの側で立ったまま。動き出した、電車に揺られながら、携帯をチェック。
着信もメールもなし。
(昨日の夜。メールで確認しなかったけど。大丈夫だよね?)
待ち合わせ場所に辿り着いて、
真っ先に姿を探したけど……
時計台の下に居る男の人の中に、
……家康はいない。
(ちょっと、早く来すぎたかな?)
時計台を見上げて、時間を確認。
待ち合わせ二十分前。
同じ時間の電車に乗ってしまったら、約束した意味がないかな?って思って、早めに家を出たのと、一本。予定より前の電車に乗った私。
「待ち合わせしたい!」って我儘言った自分が、また遅行してしまったら流石に……お小言いっぱい飛んでくるだろうなぁ、と思って。今回こそは!リベンジのつもりで急いだ。
先に着いたから、
お小言は回避できたかな?
クスッと、
一人で静かに笑った後。
時計台の下に移動。少し離れた噴水の前には、同じ年頃の女の子が立っていて、身だしなみをチェックしていた。
私もそれを見て、
コンパクトミラーを取り出す。
変な所はないか、
まずはメイクと髪型をチェック。
(こっちは、大丈夫かな?)
視線をそのまま、下に落とす。
悩みに悩んだ今日のコーデ。
クリーム色のざっくりニットカーデに、白の薄手のトレーナーをインしてデニムのタイトミニスカート、茶色のショートブーツ。
(いっぱい歩く予定だから、ちょっとカジュアルっぽくなっちゃったけど……)
ゆるく巻いた髪と、ゆらゆら揺れるイヤリングで女の子感をプラス。
(まだかなぁ〜?)
待ち合わせ時間から、
十分が過ぎた頃。
さすがに、
心配になって連絡しようとした時……
「悪い。普通に寝坊した」
私はその声を聞いて咄嗟に、
時計台の後ろに姿を隠した。