第203章 天邪鬼の愛〜聴色〜(7)
ガラガラッ……ピシャン。
閉まる扉の音。
遠ざかっていく足音。
「はぁー……(やっと行ったわね)」
その瞬間。
やっと、息が吐けて吸えた気がする。
誰もいなくなった保健室。
なのに、まだ腕は回されたまま。
痺れを切らした私は、
首を後ろに向けると……
「三成くん。もう離し……っ!!」
「すぅ……すぅ……」
上下する艶やかな灰色の髪。
聞こえた寝息。
(嘘でしょ……?)
私の心臓……
これ以上、保たないわよ?
ほんわか天使。
(クスッ……)
それとも……?
チャイムが鳴るまでの間。
時が止まってるのかと思うぐらい、長い長い時間。
窓から時折、入り込む風。
カーテンが僅かに揺れて、ほんの少し出来た隙間から、見える掛け時計。
その秒速の針よりも、ずっと早く。
私の胸は早鐘を打ち続けていた。
そんな、『静かな保健室』
三成様×副部長〜fin〜