第197章 天邪鬼の愛〜聴色〜(1)
『聴色(ゆるしいろ)』とは、
紅花で染めた淡い紅色。
古くから、紅花は高価な染料。
それを用いた紅染も色濃くなれば、高額で高い身分の人にしか許されない「禁色」とされ、逆に誰でも許されたのが色が『聴色』だった。
ある日の昼休み。
美しい紅葉を迎えた、十月中旬。
謎の青年が現れた次の日の、月曜日。
石碑の前に二つの影。
「何これ……?」
「校内では、だめっ///」
ひまりが、
唇の前に出した小さなメモ。
『キス禁止令!』
それを見て、
家康は眉を、ピクピク引きつった。
恋人同士になり、
一ヶ月を迎えようとする頃。
そんな、
ラブラブ時期の二人にピッタリの色味。
『聴色』
甘くて、淡いピンク色の学園生活。
秋から冬にかけて、
少しずつ色を濃く染めていく…