第188章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜姫主様×家康様
溜息一つで不安になる心。
「……溜息吐いたのは、自分に呆れてただけ。ってか、ひまりを嫌いになるとか絶対ない」
解かれたリボンみたいに背中に回された温もりと、家康の言葉が不安を解いてくれる。
いとも簡単に.…。
「不安にさせたのは、俺の責任。ご奉仕とか言って置きながら、ちゃっかり見返り求めてたし」
「見返り??」
「俺だけに乱れた姿を見せて欲しい。ひまりに、もっと好きになって貰いたい。そんな欲望の見返り」
他にも細かく言い出したら、キリないけど。家康はそう言ってから、少し間を置いた後……
さっきとは違う、何かが込み上がって出たような……そんな溜息を柔らかい表情をして、吐いた。
それからさっきと同じように髪に触れ、指をゆっくり巻きつけるように絡めると……口元に寄せ、目を閉じる。
(あ……。この仕草……)
最近、気づいたこと。
この仕草をする時は、家康が大切な、大事な話を言う時の癖だって。
そして、予想通りというか。
やっぱりいつもみたいに、スッと目が開く。
「一番は、自分が触れてないと不安だから。……何となく無意識に、それを消そうとしてた」
そんな理由で触れるから、不安にさせたのかもしれない。
家康は、そう言って……頬がくっ付くぐらい私を引き寄せて、謝ってくれた。
それを聞いて嬉しくて堪らず、ぎゅうぎゅう自分の腕を家康の首に回す。
不安になるタイミングも、一緒。
私達は心でそんな会話をしたみたいに、暫くしてから、少しだけ身体の隙間を開けると……甘く絡むぐらい見つめ合って、以心伝心で伝え合う。
「大好きだよ」
「俺の方がって、いつもなら言いたくなるけど」
今日から「俺も」に変える。
いっぱいキスして、いっぱい笑い合って。すっかり、愛し合った後みたいな時間に満足しきっていた私。
だから……
「やっぱり、信じ合わないとね。少しぐらい、意地悪やイタズラしても……」
ひまりはちゃんと、
受け止めてくれるって。
「え?……きゃぁ!」
家康は私の片脚を軽く持ち上げる。
「もっと、触れて欲しいんでしょ?なら、ひまりも俺を信じて……」
今度こそ見返りなしの愛のご奉仕。
受け取りなよ。
油断してしまった。